出張 de 「ブラインドネス」:極限状態で人は何に価値を求めるのだろう? [映画]
原題:Blindness
http://movies.yahoo.com/movie/1809916711/info
写真はYahoo!Moviesより。
突然目が見えなくなる謎の感染症「白い病」の為に隔離された人々。隔離病棟内の全ての盲目の人々の共同生活が始まるも、その中で権力争いが起こり、生き残りをかけた「戦い」が始まった。この窮地を脱する為に、主人公はレースに参加する決意をする。このレースに勝てば事由の身になれるのだが、周りにはかつて覆面レーサーに打ち勝った悪者がいて、彼と決着をつけるべく・・・あれ?この展開はまるで「デス・レース」だな。(←嘘よん;)
冗談はさておき、先週12/3の 春日部映画ツアー 出張は遅くとも17時には終了する事がわかっていたので、帰りの電車に乗る前にこの「ブラインドネス」を見たかったんだけど、前述の「ユナイテッドシネマ春日部」ではなぜか上映していない。そしたら乗り換え駅でもある大宮のすぐ隣の「さいたま新都心」に「MOVIXさいたま」というシネコンを見つけた。
http://www.movix.co.jp/app/SMTT000000022_CALENDAR.html
今まで知らなかったんだけど、ココはいいぞ!大宮からは高速夜行バスも出ているし・・・ふふっ。(嬉;)東京出張の行き帰りに活用できそうだな。(←だからお仕事しなさいってば。)ここのHPからは¥200円の割引券をプリントできるのもグー。本当は前売り券を買えばいいんだけど、出張の日時が不定期だから鑑賞予定が立たないんだよなー。(悲;)そんなこんなでこの作品。現地評価も国内の評価もイマイチだけど、私はほどほど面白く観る事ができた。(楽しいとは言ってないからね。)これも年齢制限付きの為に万人にお勧めし辛いが、これを観た人はきっと同じ感想を持つと思うぞ。
以下、この映画の感想文です。一応ネタバレには配慮していますが未見の方は閲覧禁止。伏字(白文字)があるのでドラック注意。
今年、東京出張時に観た作品の中では「ミスト」、「クローバーフィールド」、「REC」、「ハプニング」、といった終末系の作品。(なぜか今年はこんな類の作品が続いているなぁ・・・。あえてそれを選んで観ている私の感性もヤバイのかな?)「白い病」・・・目の前が真っ白になり何も見えなくなる症状が全世界に流行を始めた。感染患者は隔離施設に移されるが、「移す」というより「収監&放置」された感じ。この演出が酷い。これには引いてしまう。国(軍)は感染患者(くどいようだけど目が見えない患者なんだよ。)を強制的に隔離施設に連れていくものの、その入口で「はいサヨナラ」。その後は「まっすぐ歩けば入り口があるので階段に気をつけて入れ」とか、「何番目の部屋に入って自分のベッドを(手探りで)見つけなさい」とか、「食料を配給するので各部屋の人数分(手探りで)を配分しなさい」とか、食料が足りないと言うと「届いた数量は全て渡している」という会話にならない受け答えをするとか、「怪我人に薬は渡せないので(手探りで)治療して」とか、「遺体はクワをあげるから(手探りで)穴を掘って埋めて」とか、内乱が起きて助けを求めても何もしないとか、本当に酷い。犯罪者でもこんな扱いされたら訴えられるぞ。そんな環境下でも目の見えない人々はなんとか共同生活を始める。トイレに行くにもシャワーを浴びるのも恋愛も手探り状態なので、ゆっくり、ゆっくり、物事が進行する。1号棟の患者の救いは、その中に独りだけ目が見える女性(ジュリアン・ムーア)が紛れていた事だ。彼女は自分の目が見える事を隠し、同じ病室の夫の為に一緒に隔離される事を選んだ。感染患者が次々と送り込まれ、病室は2号棟、3号棟、と徐々に埋まってゆく。隔離施設内には小さな「社会」が生まれる。ところが困った事に、銃を持った感染者が入って来て「王」を名乗ってから、彼のいる3号棟病室(小国家?)が支配する環境が生まれてしまう。「王」の横暴ぶりは徐々にエスカレートして来て・・・(以下、当ブログ内規により文章に出来ない描写があるので割愛。)この修羅場をどう切り抜けるのか?というのが中盤までの話。この過程で「女性が一列になって目的地に向かう」という悲壮感漂うシーンがあるのだが、このシーンの音楽が微妙に軽くて、何となく映画とも、そのシーンとも、ずれているように感じたぞ。
「何故か独りだけ目が見える」主人公だけは絶対的なアドバンテージを持っているハズだが、(軍に射殺されるので)隔離病棟から出る事もできない。目が見えない振りをしても否応無しに見えてしまうので、ついつい隔離患者の世話係のような事ばかりしてしまう。トイレへの先導、シャワーの世話、床の掃除、、、。見えるが故の責任感、何故彼女だけ感染しないのか?彼女も突然目が見えなくなってしまうのか?という緊迫感により彼女は精神的に孤立してゆく。だからあの予告編での台詞、「声は覚えたぜ」に対する「顔は覚えたわ」が効いてくる。彼女以外の全ての患者は「目が見えない」という共通の価値観を持ってしまった。彼らに人種の壁は無い。皆、一人では生きてゆけないので共存の道を歩む為には人種や年齢や犯罪歴や性別は問題にならない。目に見えない人間性を知る為に努力しなければ相手が何者かわからない。でも努力しなくても傍にいるだけで伝わってくる何かもある。うーん、考えると奥が深いのかなぁ・・・?正直に言ってあまり考えたくないシチュエーションではあるんだけどね。
劇中ただ一人目の見えるジュリアン・ムーアは、恐らく世界でたった一人の「目が見える」存在であったのだろう。終盤でいくつものマリア像、キリスト像が目隠しされている光景が描かれるが、彼女はこの世でたった一人のマリア様(若しくは神)のような存在になってしまったのだ。信頼し得る仲間を導く役割を持ってしまったが、それもこれも目が見えるから出来る事。いつ失うかもしれない危うい価値観。これはもしかして、本当に人間の心に訴える作品だと思えてきたぞ。ただ作品としてはそこまで人間の深部に切り込んだ演出ではなく、あくまで主人公目線で進行するので一応、普通に安心して観ていられたのかな?(ものすごく面白いとか感動したとか、っていうレベルではない。)とはいえ今年観た各種終末系の作品と違うのは、全てが解決した訳ではないとはいえ「希望に満ちたエンディング」がこの作品の救いではないだろうか?字幕には無かったが、ラストシーンであの人が発する「Nice to meet you」の言葉がとても素敵に感じた。ジュリアン・ムーアがあの人の演技に涙したという「再開シーン」とは、もしかしたら序盤に病棟で再開する2人の事ではなく、ラストシーンの事だったのかもしれない。それこそ本当の「再開」という表現がふさわしいかもしれない。
結論;観て損はしないし今観なくても将来必ず観るべき作品だったとは思う。でも、面白いか面白くないか?で言うと微妙。間違ってもデートムービーではないので要注意。だって、観終わった後に「あなただったらあのときどうする?」って訊かれて、その答え如何で破局を迎えるような深刻な論議になっちゃったら困るもの。(爆;)
PS.予告編で気になった作品。
「地球が静止する日」 The Day the Earth Stood Still
http://movies.yahoo.com/movie/1809966785/info
http://www.thedaytheearthstoodstillmovie.com/
これは観なきゃね。オリジナルは未見だけど、これはきっと今年の上位ランクに入るんだろうな。地球環境保護を訴える今年最大規模のエコ映画。(嘘よん。)キアヌ・リーブスはあの中性的というか感情の無い演技というか、自分のキャスティングは何か?というのをよく理解しているんだろうな。それと「ブラッド・ダイヤモンド」で久しぶりに見たジェニファー・コネリーも出ているよ。ところで「地球が静止する前に食べたい焼きトウモロコシ」っていう宣伝はなんだよ!(コラ!)
「ワルキュール」 Valkyrie
http://movies.yahoo.com/movie/1809913399/info
えっ?この作品名は「バルキリー」って読まないんだ。へー。という事は・・・例のアレは「バトロイド・ワルキュール」って呼ぶのかな?(爆;)眼帯姿のトム・クルーズが、ヒットラー暗殺を企てるナチス将校を演じる、って内容だろうか?でも眼帯って言ったら「スカイキャプテン」のアンジェリーナ・ジョリーのセクシーさにはとても叶わないぞ。(爆;)
http://movies.yahoo.com/movie/1808466198/photo/534577
さて次の東京出張は・・・来週か。今年最後の出張では、何を観ようかなぁ・・・。(←仕事しなさいってば。)
これは見てみたいんだよなぁ。
だから、読まないよ。(笑
by たいへー (2008-12-10 07:50)
この映画も含め
最近、洋画も邦画もふくめ
細菌とか感染がテーマになった作品がやたら増えていますが
つい私なんかは、
もしかして知らないところで、
そんなことが現実として迫ってきているのでは・・・
って思ったりしてしまいます。
by miopapa (2008-12-10 10:59)
みたいと思ってはいるのですが、優先順位からいって、行けるかどうか微妙なところなんです。
この記事を拝見するとやっぱりとても面白そうに思えてしまうのですが「微妙」なのですか・・・・・うーん 見に行けるかどうか、やっぱり微妙(笑)
by マヌカン☆ (2008-12-10 12:57)
重いテーマでした。人々がどんどん目が見えなくなってくる。自分を感染させた者が隣りに居るという皮肉。元々眼が見えない人間がアドバンテージをとってしまう皮肉さ(「暗くなるまでまって」なんて作品もありましたが)なんてのもあって。結局人間って愚かな存在なのよねというのが自分の感想ですね。
ラストはやはりいろいろ考えさせられました。
by HAN (2008-12-10 16:34)
> 功太郎 さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2008-12-12 00:58)
> たいへー さん、御来訪ありがとうございます。
ぜひご覧下さい。そのあとまたご覧いただければ幸いです。
by Yakoha (2008-12-12 00:59)
> miopapa さん、御来訪ありがとうございます。
そう言われてみればそうかもしれませんねー。それだけこの世の中が病んでいるのか・・・本当にあったら困りますけどね。(苦笑;)
by Yakoha (2008-12-12 01:00)
> Akkey さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2008-12-12 01:00)
> カズフミ さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2008-12-12 01:01)
> ランランラン太郎 さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2008-12-12 01:01)
> マヌカン☆ さん、御来訪ありがとうございます。
「微妙」とは書いたのですが、映画ファンならいつかはきっと観るべき作品だとは思います。でも・・・面白いかどうかは微妙です。(笑;)
by Yakoha (2008-12-12 01:02)
> HAN さん、御来訪ありがとうございます。
ラストシーンはああだったんですけど、やっぱり色々考えちゃいますね。こういう状況に陥ったときに初めて本当の自分(人間性)が見えちゃうんでしょうね。我が身に起こったら・・・やっぱり怖いです。(苦笑;)
by Yakoha (2008-12-12 01:06)
> duke さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2008-12-12 01:07)
> nyan さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2008-12-12 01:07)
映画を観るのに、バスの時刻表等で苦心しておられるのですね。
この映画の予告編を観て、躊躇した一本です。
by たいちさん (2008-12-12 15:46)
レビュー楽しく拝見しました。
Yokohaさんのレビューを呼んで改めてあの収容所は何の比ゆだったのかを考えると・・・・「アメリカ」そのもの?
塀の外にいる人間が、塀の中の有様を撮った映画なのではないでしょうか?
アメリカの医療制度は、あの塀の中に通じるものがあります。当サイトへの訪問&コメントありがとうございました。
by 朱色会 (2008-12-12 20:06)
> shin さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2008-12-12 21:47)
> たいちさん さん、御来訪ありがとうございます。
出張という大仕事?があるのに電車と会議のタイムテーブルを作ってまで映画館を目指すこの情熱を、仕事にぶつけられたらいいのに・・?(爆;)
by Yakoha (2008-12-12 21:48)
> 元気 さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2008-12-12 21:48)
> 朱色会 さん、御来訪ありがとうございます。
朱色会 さんの深いレビューも素晴らしいのですが、当ブログへのコメントも深いですね~。アメリカの医療制度に例えるなんて・・・思慮深すぎますな!(←素晴らしい。)
by Yakoha (2008-12-12 21:50)
> naonao さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2008-12-13 20:05)
> かつぽん さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2008-12-13 20:06)
「MOVIXさいたま」ですか。
首都圏がYakohaさんの思い通りに発展していますね~。(爆)
あんまりお仕事しない方が良いのかも・・?(爆爆)
by nomame (2008-12-14 00:21)
> nomane さん、御来訪ありがとうございます。
ふふふ・・・いいところを見つけてしまいました。
実は今日も行って来たのです。(笑;)
がんばるぞ~!(←何を?)
by Yakoha (2008-12-18 00:22)
> takemovie さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2008-12-18 00:24)
> 地蔵 さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2008-12-18 00:25)
こんにちは。
見た人によって、それぞれ違う解釈ができる映画ですね。
観て損はないというのは同感ですが、面白くはないです。(笑)
by hash (2008-12-20 17:46)
> hash さん、御来訪ありがとうございます。
御指摘どおり。興味深さはありますが、面白い・・・とは言い辛いかな?でも、観てよかった・・・とも言い辛いかな?(爆;)もう一ひねりあれば良いかな?って感じでしょうか・・・?やっぱり微妙・・・。
by Yakoha (2008-12-23 00:28)
> アッシー映画男 さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2009-01-13 22:41)
> 門前トラビス さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2009-01-13 22:41)
> Suzu さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2009-02-02 22:11)