ドライヴ ： 寡黙な演技、光と陰の演出が秀逸！ [映画]
Drive (2011)
http://movies.yahoo.com/movie/drive-2011/
http://drive-movie.jp/
これは純粋に好き嫌いの問題だと思うけど、決して万人受けはしないタイプの作品。私自身は面白かったけど、作品の趣旨を理解しきれていない可能性大なのであえて傑作とは言わない。丁度、ジェームス・キャメロンの「アバター」を観たような気分でさ。物凄く普遍的というか古臭い脚本と演出、映像（本当に80年代の作品みたい！）、音楽（サントラ版欲しいな！）を散りばめているのにそれっぽさを感じさせないのは、主演のライアン・ゴズリングの「寡黙さ」を含めた作品全体に漂う「光と陰」の表現力のおかげなんだろうな。昔TVで観た「ザ・ドライバー」の現代版を期待してたら面食らう事間違いなし。これは「カースタント作品」でも「犯罪者の淡い恋心を描いた作品」でも無い。「闇の世界に生きる男の悲哀」を描いたクライム・サスペンスとでも言うべき、ハードな闇の世界の話だ。よって予備知識無しで観る方は多分、若干の覚悟が必要。
以下ネタバレには配慮していますが若干ストーリーに触れているので未見の方はご覧にならない事をお勧めします。
主人公は自動車修理工場で働き、時々カースタントもしているが、生業は強盗の逃走専門ドライバー。圧倒的なドライブテクニックにより今夜も一組の強盗の手助けをするが、巷のカースタント映画にあるようなスピードが全てな逃走劇感ゼロ。警察無線とラジオと土地勘を駆使したパトカーとの心理戦、我慢強い知恵比べのようなカーチェイス。（これは凄いぞ！）そんな彼の心の安らぎは、同じフロアに住む子持ちの女性。ただ彼女を見ているだけだった彼の暮らしは、彼女が故障した車を彼の工場に持って来た事から新たな展開を迎える。絵に描いたようにクールで寡黙過ぎる男だけど、彼女に対してだけ表情が緩む。あの「寡黙な笑顔」が物凄く印象的でさ。（笑；）
同じ寡黙でも、あんなに素敵な表現を出来る寡黙さなんて無いぞ、きっと。彼に見つめられる彼女にもだんだん、笑顔が溢れてくる。二人とも黙ってるんだけど、凄く微笑ましい二人の距離感。あそこまで台詞無しで笑顔で見つめ合う二人の視線がこの作品の「光」の全てと言って過言でないかもしれない。恋愛には違いないけれどお互い一線を越えない中、彼女の服役中の夫が帰って来た事で二人とも思い悩む。それ自体は二人にとって幸せなハズなんだよ。主人公自身も「手に届く訳も無い幸せ」と思っていたハズだし。ところが思いがけなくある事件を目撃した主人公は、本当に彼女への好意で、彼女の夫を助けようとするんだけど、事態（運命）はどんどんあらぬ方向に展開していく・・・。
どんなに儚い恋愛感情でも、これは主人公自らが選んだ人生には絶対に有り得ない幸せだったのだ。闇の世界で生きる事を選んだ彼がどれだけその「光」望んでいたのかわからない。今思えば、「エレベーターのシーン」がこの映画の全てを象徴していたように思う。エレベーターに乗る前のお互いの想い、エレベーターでキスした時の一時の光り輝く想い、彼の背中のサソリ、その後の「陰」の展開（こうなる事を彼自身判っていたんだ）、そして閉じる扉の先で見つめる彼女の表情。そうなんだ。多くを語らない彼の心情を「光と陰」で演出している名シーンだと思う。
全体的に（良い意味の）B級映画っぽさを感じたけど、演技陣を含めた安っぽさは全然無し。迫力あるものの数少ないカーチェイスシーンよりも、ライアン・ゴズリングの演技、彼が要所要所で見せる「目線」と「目線の先」の演出が心に残った。（そういう意味では判りやすい演出だったのかもしれない。最期の対決も”影”で表現してたし。）今思えば、劇中で次に起こる事は全て彼の目線を追ったところにあったと思うもの。時系列を部分的に入れ替えるカット割りを見ても、「こうなる事は彼自身判っていた」って事の表現じゃないかな？最期の「瞬き」には中盤の伏線が絡んでいたけど（・・・多分そういう事だよね？）、そこで彼が見たものはきっと、あの暖かく穏やかな「光」ある触れ合いの想い出だったと思った。車好きよりもこの種のクライム・サスペンス好きに受けそうに思うけど、どうかな？ご意見求む。
PS.
この作品も房総方面で公開しておらず、今回初めて行った千葉市内の「京成ローザ」のレイトショーで観た。ここ、劇場設備は良いんだけど、私が観た時はスピーカーなのか壁紙（！）なのかが時々ビリっていて興ざめしたよ。音の無い静かなシーンでも僅かにビリビリしててさ。音量と関係ない所でビビッてた感じだったけど、アレは何だったのだろう？
それと、車を停めた劇場近くの立体駐車場が故障してさ。（爆；）私の車は直ぐに出せたけど、故障部分に保管した車の所有者が列を作ってず～っと待ってた。その日は車を出せなかったらしいけど、こんな事もあるんだなぁ・・・。（汗；）
アバターといえば、「サマー ウォーズ」。
「アバター」に、未だに辿りつけない私・・・＾＾；
by たいへー (2012-04-10 07:36)
はじめまして。個人的にはネタばれＯＫです。見にゆく予定です。ありがとうございました。
by 月夜のうずのしゅげ (2012-04-11 08:40)
ライアン・コズリングの作品を観た事ありませんが、イケメンですね。これから注視しますね。立体駐車場の故障に巻き込まれずに良かったですね。
by たいちさん (2012-04-11 11:27)
nice!ありがとうございます!
ニーノが怖すぎです(←顔含む)。
最初から最後までずっと緊張感が抜けない感じでした。
もう一回観て伏線をおさらいしたいです(^^;
京成ローザ、懐かしいです。
むかしむかし、千葉県人だった頃、高校の帰りにたまに
観に行ってました。
by クローヴ (2012-04-11 23:43)
サントラ買ってずーっと聴いてます。
こんだけ場面が浮かぶサントラも珍しいかも。
by aneurysm (2012-04-12 22:07)
こんばんは。
音楽がとても効果的でした。その分沈黙の価値が秀逸に感じました。
>「目線」と「目線の先」の演出
たまらん表現ですね。まさにそういうシーンがいろいろ見受けられました。
役者みょうりにつきる役柄でしたね。
それを演じきったライアンもすごい！と思いました。
by コザック (2012-04-17 00:27)
たいへーさん、ありがとうございます。
> アバターといえば、「サマー ウォーズ」。
・・・ゴメンなさい、判りません！（悩；）
by YaCoHa (2012-04-17 21:24)
miopapaさん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2012-04-17 21:24)
ランランラン太郎さん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2012-04-17 21:25)
nomameさん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2012-04-17 21:25)
のむらさん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2012-04-17 21:25)
silvercopenさん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2012-04-17 21:26)
月夜のうずのしゅげさん、ありがとうございます。
ぜひ！私は凄く面白く観れました。（笑；）
by YaCoHa (2012-04-17 21:26)
たいちさんさん、ありがとうございます。
車を閉じ込められなくてホントにラッキーでした。こういう事ってあるんだなぁ～って驚きました。
by YaCoHa (2012-04-17 21:28)
クローヴさん、ありがとうございます。
ドンパチのガンアクションよりも、こういう陰湿なマフィアの描写って結構恐いですね。（苦笑；）脇役が良いと作品全体も引き締まりますね。
by YaCoHa (2012-04-17 21:30)
aneurysmさん、ありがとうございます。
サントラ買いました！いい曲ですね・・・。（笑；）
by YaCoHa (2012-04-17 21:31)
成瀬さん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2012-04-17 21:31)
堀越ヨッシーさん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2012-04-17 21:32)
コザックさん、ありがとうございます。
今思い出しても、本当に音楽と演出が調和したいい作品だったな～って思います。目線の先に急いで切り替える演出とは作品テンポも全然違うし、こういうゆっくりとした静かな緊張感って新たな表現方法だと思いました。
by YaCoHa (2012-04-17 21:35)
ピスタチオさん、ありがとうござます。
by YaCoHa (2012-04-22 22:56)
はまちゃんさん、ありがとうござます。
by YaCoHa (2012-04-22 22:57)
non_0101さん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2012-05-16 22:28)