SSブログ

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ: ファミリーな映画だと感じた [映画]

007_No_Time_to_die_000.JPG
No Time to Die (2021)
https://www.imdb.com/title/tt2382320/
007シリーズを純粋なエンタメとしてのみ捉えていた私にとってダニエル・グレイグ版の人間ドラマは新鮮で衝撃だった。彼が演じる最後の007、公開延期の末にやっと公開できてホントに良かった。大感動大感激。私の率直な感想は「ファミリー」映画。ファミリー向けって意味じゃなく、MI6メンバー間の絆やボンド自身の「ファミリー」への愛をひしひしと感じてさ。冒頭幸せの絶頂から一気に急降下し、壮絶で哀しくも優しい結末まで一気に突き進む。上映時間163分は同日にハシゴした「デューン砂の惑星」の155分よりも短く感じたし。もう胸いっぱい。
以下ネタバレ気味につき未見の方は閲覧注意。

007_No_Time_to_die_006.JPG
無数のワルサーPPKがDNA二重螺旋を描くオープニングが本作テーマだったのか。巷では青を基調とする映像美とか各種ウンチク分析はあるようだけど私はそこまで感じなくて、むしろド迫力のアクションに目を奪われた。CGではない重量感溢れる泥臭い闘いを淡々と見せつける・・・ボンドもマドレーヌも躊躇いなくドン!ドン!って撃つからビックリする。キャリー・フクナガ監督、凄いな。日系なのかな?敵役サフィンの能面 ( Noh Mask ) や畳部屋、和風庭園、サフィンの着物っぽい衣装、せっせと働く真面目な従業員とか、随所に日本文化が見え隠れするのも興味深い。(丹波哲郎が出たアレとはまた別ね。)ボンドはロープ一本片手で橋からダイブしたりバイクで大ジャンプしたりホントに敵を殺してるような銃撃戦と、いつも通りシリアスな展開なのに、要所要所コメディに振ってるのが面白くて。(w)
それと、時代を反映した脚本演出ね。過去シリーズっていろんな意味でセクハラだらけだったので(私見)、前Mや現役トップの「00」が女性だったり、現地女性連絡員のあの子も007の誘惑に負けず(っていうか年齢的に眼中に無さそう;)、年功序列に頼らず出世できる実力主義の世相を反映してたり。それに戸惑うボンドが可笑しくてねー。「どんなに技術が発達しても人工衛星で敵国首相の日記帳まで読めない」のがスパイの存在意義だったハズなのに、労働環境含めてスパイもどんどん進化するのかな。今でも世界中で闘う名も無いスパイのおかげで世界の均衡がとれていると信じているけどね。

007_No_Time_to_die_001.JPG
ダニエル・クレイグ
過去を焼き捨てた途端に現場に引きずり戻される哀しい英雄スパイ。この時代は引退しても拳銃一丁じゃ力不足なのか?機銃装備の自家用車ってどんな引退生活じゃ。うかつに車検にも出せないし。タキシードでも戦闘服でも完璧に着こなし、タクティカルな小銃を構える様のカッコいいこと。久しぶりに訪ねた元上司Mに「机が大きくなったのか背が縮んだのか」は痛烈な皮肉だな。(爆;)
私には「トゥームレイダー」のチャラめな役を除くと「ドラゴンタトゥーの女」の印象が強い。フィルモグラフィー見て「ミュンヘン」に出てたのには気づかなかったなぁ・・・007への起用反対意見の一つに彼の青い瞳があったそうな。まさかそれを感動的な結末に繋げるとは。最後の闘いの後、遂に諦めた彼の表情が、最愛の人の言葉で安らぎに変わり、青い瞳に家族愛を感じながら終焉をむかえる姿に感激した。

007_No_Time_to_die_005.JPG
ラミ・マレック
割れた能面を付けて「ボヘミアン~」とは全然違う姿で登場。歴代の敵役の中でも存在感を放つ、何の罪悪感も無い淡々とした表情ね。何故マドレーヌを助けたのかは実はよくわからなかったなぁ。その後の二人の関係も。氷を挟んで目があった彼女の記憶を本人に淡々と語る無表情が恐ろしい。007の敵役っていつもあんな殺風景な基地内で残り人生を過ごせる人が多いようだけど、娯楽施設もあるのかな?衣食住は大丈夫かな?自分たちの敵を滅ぼしたあと何を楽しみに生きていくつもりかを心配してしまう。幸い今回はせっせと働く真面目な従業員(恐らく現地の日本人)がたくさんいるから生活には困らないだろうけど、主要なテレビやネット番組は見れなくなるだろうね。悪役が凶悪なほど倒した時のエンタメ度が上がると思ってる私だけど、そういう意味で「スペクター」はピンと来ないんだよ。(後述)

007_No_Time_to_die_004.JPG
レア・セドゥ
「ゴースト・プロトコル」で勇ましいガールズファイトを繰り広げたスパイ役だった。エヴァ・グリーンもだけど同じ人物が続けて出演するのは旧シリーズに無いストーリー性を持ってるってコトでしょ?その辺が「ダニエル・グレイグ版」の面白さでさ。007自体の面白さに人間ドラマとリアリティが加わったらもう最強でしょう!?本作で彼女の過去が明かされるがやはりよく理解できなかった私。それにしても彼女を手ぶらで列車に乗せてはいサヨナラって、ボンドの仕打ちはひど過ぎるぞ。(まぁ荷物は既に列車に預けてあるんだろうけどさ。)ラストに彼女が語る「ジェームズ・ボンド」の物語を聴いてみたいな。

007_No_Time_to_die_007.JPG
ラシャーナ・リンチ
っていうかこの方、「キャプテンマーベル」の相方だったのね!?闇の中でギロリと光る眼が印象的。誰かに似てるけど思い出せない。(笑;)この方も現代の実力主義でのし上がったプロで、「007はただの番号」と豪語(謙遜?一蹴?)するも、やはりそのプライドと実力を持っている模様。そんな彼女がボンドに「007」のコードを返上したのは胸が震えたよ。「ただの番号よ」って二回目の台詞にチョットだけボンドへの敬意を感じたもの。この方もタクティカルな訓練を受けたようで凄くカッコイイ。操縦経験の無いグライダーで空から落とされるシーンを見ると、きっとアレは誰でもすぐ乗れるよう万人向けに開発されてるんだと思う。きっと操縦桿はPS5コントローラーに違いない。(嘘;)

007_No_Time_to_die_009.JPG
ベン・ウィショー
ボンドの職場関係者で一番若手なQ。この時代に相応しいというか、意外な展開だったけど、同性パートナーの為に夕食を作ってる途中に訪れたボンドご一行を接待する羽目になり、サービス残業まで強要されて可哀そう。っていうか自宅PCで国家機密を分析しちゃだめでしょう。これは働き方改革の時代にマッチしないボンドのせいだな。Mは彼を労うべく、彼らにペア旅行券を与えるべし。

007_No_Time_to_die_008.JPG
ナオミ・ハリス
私、もしかして予知能力あるかな?この御顔を見ただけで「ナオミよんっ!」って台詞が浮かんだもの。(爆;)
本シリーズで若返ったマネーペニー。この子も現代の人なのでボンドに恋愛感情は無いハズ。(笑;)陰で007を支えてきた彼女は今後の新シリーズでも出演するのかな?ボンドを「時々撃ちたくなる」と言ってホントに撃った経験のある貴重なタイプなので、新007と共に今後も頑張ってほしいな。MI6がチャーリーズエンジェル化することは無いだろうけど、万一そんな羽目になったら・・・と、また妄想したりする。平常心で、平常心で。(爆;)

007_No_Time_to_die_011.JPG
ジェフリー・ライト
毎回出てくる(よね?)フィリックス・ライター、今回はコメディ担当で(嘘;)、引退したボンドにCIAの仕事を協力要請する。残念ながら人を見る目が無かった模様で、アカラサマに怪しい新人に騙される。彼とボンドの関係も微笑ましくて、同じ時代を生き抜いたボンドが彼を「兄弟」と呼んだのにグッときた。とはいえ基本的に諜報機関同士がお互いの顔を晒して合同ミッションすることはあり得ないらしいね。たとえ友好国同士だとしても。って落合信彦の本を読んだのは・・・遥か数十年前か。最近本読んでないなぁ、私。

007_No_Time_to_die_012.JPG
クリストフ・ヴァルツ
また出たスペクター。この方も凄くいい味出してるのにどうしても巨悪組織のトップに見えないんだよ~。しかも前作でも殺されてないし。エンタメ的なモヤモヤが残った「スペクター」だった彼。MI6監視下で完璧に隔離されていたハズなのに組織とコンタクトを取り続ける事が出来た謎は、何と、コンタクトを外す事で解決した。(嘘;)まぁ彼自身が外部の映像を観たり音声でコミュニケーションとれたのはホントに謎だけどね。それにしてもこのシリーズでMI6ビルのセキュリティは凄くザルだな。ハッキング、直接侵入、爆破、とかなり派手にやられてるし、少なくとも服役囚が外部と通信できるし。私はこのキャラを語るほどの知識も思い入れもないけど、私の元上司に似ている人がいたので微妙な親近感がある。(爆;)でも逆にそれだけ。お疲れ様でした!

007_No_Time_to_die_0010.JPG
レイフ・ファインズ
M役として物凄く良いキャスティングだが本作はこの人の責任重大。コイツが悪い。例の計画、国家に内密にするなら完璧を期さないと。あんな大失態を犯した上に日本近海にミサイルまで発射して、なんのお咎めも無く最後に乾杯。なんじゃそりゃ。(爆;)ところでMI6、いつも登場人物がかなり少ないのはいいとして職場の全体像が見えにくいよね~。一体何人いるんだろう?もちろん「00」メンバー同士は基本会う事は無いハズだけどさ。スパイなら同僚の顔も知らないハズだもん。ところで私は「シンドラーのリスト」と「レッドドラゴン」のイメージが強すぎてこの人が恐ろしくて仕方ない。

500px-Ana-de-Armas-No-Time-to-Die-Paloma.jpg
アナ・デ・アルマス
クレジット順に書くと最後になっちゃうのは出演時間をみたら仕方ないか。実は前の記事で書いた以上のコメントが無いんだけど(爆;)、流石にボンドに恋愛感情を持つ年齢じゃないよね。当然だけど「そんなつもりはないの」の台詞に狼狽するボンドが面白い。「3週間の訓練」に不安になるボンドが彼女の凄い戦闘シーンの後に「ホントに3週間だけ?」に改めて狼狽したり、マティーニを一気に飲み干す姿に呆れ顔?したりと、各種面白シーンあり。右手にツートンのPPK、左手にMP7、という現実的には難しそうな両手撃ちを披露する。私はてっきり初対面だと思ってたけど「ブレードランナー2049」のバーチャルなAI役で出てた模様。あれも儚く素敵な役柄だったよね、そういえば。前の記事でアレコレ騒いでいますが、行き過ぎた親心とお考え下さい。(ww)

ちなみにこのPPKのツートンは個人的に嫌い。元々ステンレス・シルバーは錆止め目的だったので、本来は手が触れるフレーム側にするべき。もしくはスライドもフレームもステンレスとかさ。どっちにしても黒系でないと(反射光が目立つから)スパイは通常持たないと思う。でももし峰不二子的な太腿ホルスターに隠し持つならステンレスの肌触りの方がよいのかもしれない。とか、妄想妄想。。。

007_No_Time_to_die_013.JPG
という訳で将来の新シリーズもきっと新しいボンド像を描くだろうけど、それまでの間、007ファンはダニエル・グレイグ版を懐かしく思い返すのであろうと思う。私もカジノ・ロワイヤルから復習しようかな。

nice!(8)  コメント(9) 
共通テーマ:映画

nice! 8

コメント 9

YaCoHa

@ミックさん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2021-11-09 22:45) 

YaCoHa

鉄腕原子さん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2021-11-09 22:45) 

YaCoHa

ネオ・アッキーさん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2021-11-27 12:47) 

YaCoHa

たいへーさん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2021-11-27 12:47) 

YaCoHa

ハマコウさん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2021-11-27 12:47) 

coco030705

こんにちは。先ほどは拙ブログにご訪問ありがとうございます♪

とても詳しく記事を書いておられるので、俳優さんのこととかがよくわかって、興味深かったです。私も「カジノロワイヤル」をもう一度見てみようと思っています。
by coco030705 (2021-11-27 18:08) 

YaCoHa

coco030705さん、ありがとうございます。
私はカジノロワイヤルも好きです。このシリーズみんな好きですが。。ww
by YaCoHa (2021-12-05 22:01) 

YaCoHa

うしこさん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2021-12-25 22:17) 

YaCoHa

うつぼさん、こちらもありがとうございます。
by YaCoHa (2021-12-28 20:35) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。