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おくりびとのコト。(&広末涼子) [映画]

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去年9月の出張の時に観たのだが、結局記事にしそびれてしまったこの「おくりびと」。

今更感想文を書いても旬は過ぎた・・・と思っていたが、素晴らしい評価(アカデミー賞の事ね。)が出たのを機に、記憶を頼りに記事にしてみた。この作品に限らず、アカデミー選考委員という偏った眼(←冗談よ。)で選ばれるのでその評価方法自体を疑問視する見方もあるかもしれないが、特定映画評論家の記事と同様に、「鑑賞した全ての人の平均評価」で判定するより遥かに正しい選定方法だと思う。現地では「数少ないサプライズ」という報道もあったようだが、そんな事フツーの映画ファンには関係ない。邦画の傑作がまたひとつ増えた事に素直に喜ぶべきであろう。(パチパチパチ・・・とはいえ私が観た時はこんな評価を得るとは想像もしてなかったけどね。私も観る目が無いなぁ。)今朝の通勤時に地元ローカルラジオで聴いたが、3月半ばにはDVDが出るらしい。それと、今年早々閉館する事が決まった岩手県盛岡市の3つの映画館のうち1館が、この「おくりびと」を再上映する為に一時的に復活するという朗報もある。すごいなぁ・・・。

以下、私なりの解釈なので間違っているかもしれませんので意義申し立ては大歓迎。(爆;)ネタバレしないように差し障り無い表現に留めているつもりですが、一部ストーリーに触れているので未見の方はご覧にならない事をお勧めします。一部伏せ文字につきドラック注意。



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私がこれを観て思ったのは、親の愛情を子が理解するのはいつか?」という事。私が本当にそれを感じたのは、長女が生まれたとき。親離れした以降は(愚かにも)考えもしなかった事だが、育児の過程できっと両親も自分に対して同じ愛情を注いでくれたはずだと感じたのが最初で、きっと今後も何度も実感する事になると思っている。それでは最後にそれを強く実感するのはいつだろう?(キツイ表現かもしれず、ちょっと悲しい話だが、)多分それは両親が死んだ時ではないかと思う。なぜならこの先どんどん老いていく両親(と私)は、険悪な関係になったり、考えたくないが痴呆症とかになって会話すらままならない状態になったり、双方辛く当たってしまう時期があるかもしれない。亡くなった時に初めてその過程を悔やみ反省して、過ぎ去った楽しい思い出が蘇ってくるのかもしれない。多分「おくりびと」の主人公(本木雅弘)も、父母の死に際に傍にいる事ができなかったという想い(後悔)を心の奥に閉まったまま(そんな事忘れたかのように)自分の人生を歩んでいたが、「納棺師」になって初めて、自分自身考えもしなかった彼らの想いを知り、忘れかけていた彼らへの想いが蘇る、そんな姿に観客は心打たれるのではないかな?

以下、もう少し詳細に触れているので更にドラック注意。

主人公はチェロ奏者として世界を駆け回る夢を持っていたが突然楽団が解散。妻(広末涼子)と共に、彼の亡き母が住んでいた実家に帰ってくる。偶然見つけた求人広告を見て、何の職業かもわからぬまま採用された高給な仕事とは、「納棺師」という「遺体を棺に納める仕事」だった。(多分、こういう職業を知る事が観客の最初の驚きだと思う。)最初はその仕事に疑問を持つ主人公だが何故か辞められない。遺体を清めて納棺の儀式を行う、死者を送り出すその仕事の意味を理解した時、彼はこの仕事の素晴らしさを知る。この職業、(葬儀屋さんもそうなのだろうか?)臭いが体に染み付く、地元の友人からも忌み嫌われ、そして妻さえもが「汚らわしい」と彼の元を去る。彼は社長(山崎努)に辞職を申し出るが、社長の最初の仕事の話を聴き、彼の苦悩と意義を知り、納棺師を続ける事になる。

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主人公と社長、秘書(余貴美子)、3人だけのささやかなクリスマスパーティ、山形の自然を背景にチェロを奏でる主人公の満足げな表情が彼の心情を表現しているかのようだ。ある時、主人公の妻と友人は偶然「納棺」を目の当りにする事になり、初めてその意味を知る。そうだったんだ。この仕事は亡くなった本人の為でもあるが、その家族の心の安らぎの為の儀式」なんだ。主人公は諸々の事情で父の顔を思い出せないが、妻が教えてくれた亡き母の父に対する想いを聞いて主人公は戸惑う。そんな彼の元にある「仕事」が来たが、彼は頑なに断る。そこで秘書(←この人の異様な色っぽさは何だろう?)の言葉に主人公(と観客)は衝撃を受ける。その後、今まで想像もしなかった「ある一途な想い」を知った時、彼と妻は「納棺」の儀式により遺族(=彼自身)が心癒された事を本当に理解するのだ。

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最近知ったが、この映画の企画は本木雅弘本人なのね。原作を読んで感銘を受けた本木が自分の著書にその一文の引用許可を求めた事から始まる、映画化までの道のり。スゴイぞ、本木雅弘!この年(当時20代)でこの種の映画の企画をするなんて・・・素晴らしい。これも映画の主人公と同じでさ。人は、努力が報われた時に癒されるんだろうな。例えは変だけど、「スパイダーマン2」で観客の胸を打ったのは何だったか?ヒーローだと思っていた人物が「実はどこにでもいる青年」で、市民に(素顔をさらして)掲げられた時と、愛する人に素顔をさらして彼の苦悩が理解された時、ではなかったかな?映画に限らず、世の中には努力しても報われず埋もれてゆく事柄がどれだけあるのか知らないが、こういう話を聴くと私も何か頑張りたくなっちゃうな。(←今更何を・・・とは思うけどね。)

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ところで私Yakohaは年甲斐もなく広末涼子がマイブームで(爆;)バツイチになってから彼女の魅力に気付いた次第。資生堂のCMとか見ても年相応の魅力というか面白さを感じ始めている。女優と言うにはまだまだかな?って思うけど、もう少し年をとったらファンを自称してもいいかな?とか思っている。(←コレ、今年40になる男の台詞かい?俺。)
http://yakoha.blog.so-net.ne.jp/2008-06-24

ガンバレ広末!(なんのコッチャ。)


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たいへー

アカデミー賞のもの凄さを実感しました。
by たいへー (2009-03-03 08:10) 

ランランラン太郎

映画館へ足を運ぼうかと思っていましたが、
DVDがもうすぐでるのなら、レンタルしま~す。
確かに広末涼子は昔より良くなりましたよね。
大人になった、のかな?
by ランランラン太郎 (2009-03-03 09:01) 

nomame

やはりYakoha さんのレポは私にとって大切です。
うんうんって、共感しながら読ませて頂きました。
by nomame (2009-03-04 02:02) 

たいちさん

私は、この映画を試写会で観ました。今、その時のブログを読んでみると、また泣けましたね。アカデミー賞受賞は嬉しいですよね。
by たいちさん (2009-03-04 13:21) 

Yakoha

・・・「アカデミー賞」と名がつくと興行的効果は計り知れないとは思うけど、率直に言って映画としてそれほど完成度が高いとは思わない。米国人にとってこのような文化に触れる事の新鮮さが「アカデミー賞」の1部門を受賞したのであって、それ以上のものではない、とも思っています。もちろん、私も面白かったんですよ。
by Yakoha (2009-03-06 01:32) 

Yakoha

> WIZARD さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2009-03-06 01:33) 

Yakoha

> カズフミ さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2009-03-06 01:33) 

Yakoha

> たいへー さん、御来訪ありがとうございます。
めでたい事だからいいんですけど・・・マスコミは騒ぎすぎじゃないかなぁ?っていうのが正直な感想です。
by Yakoha (2009-03-06 01:35) 

Yakoha

> ランランラン太郎 さん、御来訪ありがとうございます。
DVDが出たら私も再見予定です。劇場でもDVDでも迫力(の無さ?)は変わらないかな?そういう意味で普通のドラマを映画館で観るのは何故だろう?って悩みはじめました。
by Yakoha (2009-03-06 01:37) 

Yakoha

> 真凛 さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2009-03-06 01:37) 

Yakoha

> nomame さん、御来訪ありがとうございます。
共感いただいて嬉しいです。本当は伏字で書くと読み辛くなるので黒文字で書きたいのですが、ネタバレは避けたいので・・・。実は自分の周りにこれを観た人がいないので、誰とも感想を言い合えないのです。(爆;)
by Yakoha (2009-03-06 01:39) 

Yakoha

> ぱそまま さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2009-03-06 01:40) 

Yakoha

> たいちさん さん、御来訪ありがとうございます。
邦画の受賞は嬉しいですね。私は劇場を出てから数日して初めてこの作品の意図がわかってきました。味わい深い作品でしたねー。
by Yakoha (2009-03-06 01:41) 

Yakoha

> silvercopen さん、御来訪ありがとうございます。
by Yakoha (2009-03-06 01:41) 

Yakoha

> あら!みてたのね さん、こちらにもご来訪ありがとうございます。(たくさんnice!頂きました。)

by Yakoha (2009-03-11 02:02) 

naonao

すごい快挙でしたね。
Yakohaさんが広末がマイブームといってるように私はもっくんがちょっとの間マイブームでした!
すごいぞ、本木!って私も思いました。

by naonao (2009-03-20 14:34) 

Yakoha

> naonao さん、御来訪ありがとうございます。
ここまで騒ぎが広がると・・・ちょっとやりすぎかな?って心配になっちゃいました。(笑;)本木さんはそんなタイプ?だとは思っていなかったので、スゴク真面目な方だと見直した次第です。はいっ、コレホント。
by Yakoha (2009-03-20 21:20) 

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