アンビュランス:映画の評価は何で決まるのか [映画]
Ambulance (2022)
映画の評価って何で決まるんだろう?たった一つのトンデモ演出や結末が消化不良なだけでで低評価、逆に全体的にイマイチでも感動シーン一つで高評価、かと思えば見方(評価ポイント)を変えると逆の評価になったりするし。加点法/減点法の差なのか?結局個人の好み・趣味趣向の多数決なんだろうか。映画産業の特徴は市場価格が一定という事で。普通の商品って価格帯に応じた完成度・満足度で評価されるけど(資本主義国家の場合)、映画って一律同じ値段で観れるでしょ?大ヒットしようがしまいが価格(料金)は同じ。このロジックは本になる位に面白いんだけどね。ちなみに私が大好きな「ブルー・サンダー」も一般的には評価微妙だし。(一時愛読書だった小説「ダック・コール」の稲見一良さんがマイナス評価してて凹んだ私;)
そんなこんなで「ガンパウダー~」後にハシゴしたこの「アンビュランス」。私は予告編以外の予備知識無しで、「銀行強盗が警官を救うか葛藤するドラマ」と思って観ただけで、マイケル・ベイ作品なんて思ってもいなかった。だってタイトル「救急車」ですぜ。(爆;)「ヒート」や「ザ・タウン」系のクールな犯罪者をジェイク・ギレンホールに期待してたらイカれた悪人役だったし。(笑;)このキャラが結構痛くて、率直に言うと中盤まで誰にも感情移入でず、意味無く激しいドローン撮影に呆然としてた。ところが「そんなバカな!」という銃撃戦に突入し、まるで美談のように一件落着させる強引さに呆れつつも、さすがマイケル・ベイ。最後は観客(=私)に「凄く面白かった」と錯覚させる技量が凄い。いやいやホントに面白かった。もちろんもう一回観たらまた「そんなバカな!」と思いながらやっぱり面白いハズ。そして何より好感持てるのはエンドクレジットの短さかな。(笑;)「これを全部読んでる人なんていないべ!」と言わんばかりにスクロールではなくスキップ、スキップ、早い早い。最後まで爽快爽快。純然とした大迫力のアクション快作として劇場を後にできます。ちなみにWikiには「2005年公開の同名作品のリメイク」と書いてるけどマイケル・ベイ本人はインタビューで否定している。(コッチも面白そうだけどね。)オープニング早々、タイトルAMBULANCEの"LA"の文字だけハイライトしてるのはきっと撮影場所(=LA)への感謝の意?と思ってたら「LAでの撮影は大嫌い」と豪語してるし。(薄情な!)うろ覚えだけど過去のインタビューでも「よく感覚で撮影すると言われるけど緻密な構想を練っている」と語っていた。でも私はそれも嘘だと思う。(爆;)
以下ネタバレしながら感想を述べますので未見の方は閲覧注意。
この時代に銀行強盗という割の合わない犯罪はまだ存在してるのか?情報収集・電子的知識・逃走能力・トラブル対処(=銃撃戦)まで考えると特殊部隊並みの実力と経験、人員が必要だし、そもそもこの時代そんな現金を輸送するのか?なんて疑問もあるけどその辺のくだりはほぼ描かれない。最初「SIS」が強盗なのか警察組織なのか迷ったぞ。どっちも悪人面なんだもん。短いながらも大迫力な銀行強盗シーンの後、奪った救急車で逃走した後、結末まで緊張感を途切れさせない演出が凄い。真面目な事言うと全員が間違った事をしている事実(後述)を気づかせずにコトを収めようとするマイケルベイの手腕だな。(・・・違うかな?)思い返せば登場人物それぞれの思惑や正義・信条がよく表現されている。極度の緊張の中で家族を想う主人公、自らの命と撃たれた警官の命を守る為に奮闘する救命士、自分の腹に手を突っ込まれているのに気づきパニックになる警官、イカれた強盗社長とその同級生FBI、犯罪組織との心理戦、登場人物をキチンと描いているから数々の細かいギャグも物語を邪魔する事なく、緩急つけた展開になったのかもしれない。
最初の方で「意味無く激しいドローン撮影」って書いたけど、(なんと19歳のドローン使いだって!)時折凄いショットが。ジャンプする車の下をくぐり後続車の屋根をかすめるシーンにビックリした。そして救急車に乗る前と乗った後のそれぞれの銃撃戦ね。銀行強盗で銃撃戦があるのはまだわかる。でも救急車で逃走する物語になぜガトリングガン搭載車両まで登場するのか?(凄い組織だ!)一発一発の銃声(音圧)に圧倒されるかと思えば静まりかえった中でいつ撃たれるかわからない緊張感ね。最後までドキドキハラハラ。そして反目し合う兄弟が思い出を語り、歌い、窮地を脱する胸熱で素敵な演出アリ。
さて。一応幸せな結末を装っているものの実は主要人物は全員正しくない事をしていると思うけどどうだろう?
銀行強盗主犯のジャーヘッド
私は「デイ・アフター・トゥモロー」の印象が強いので、善人顔の悪人役は違和感アリアリなんだけど、終盤迄に馴染んでしまうのが不思議。(逆に私が感情移入できたのは終盤だけかな。)犯罪人生を親のせいにするのは無責任だがFBIに指名手配されるほどの銀行強盗のプロ。発注したペンキが青だの緑だの、フラミンゴは要らないだの、コーヒーマシンを買っただの、真っ白になってカシミアを嘆くなど、何かと騒がしい神経質な役。車屋社長という表舞台で顔が割れても臆さないのは大物だよね?銀行強盗仲間(=社員)を使い捨てにする根っからの悪人であり弟をも見殺しにしそうな薄情さだが、実は弟に逃げ道を残す台詞もあり、ラストシーンで弟に理解を示す、というか恨んでいない表情(だよね?)に救われた思いがする。強奪した札束が少なかった気がするけど大丈夫かね?札束の山を目の前にして持ち切れないのはやはり効率悪い犯罪だぞ、銀行強盗って。電話一本でガトリングガン搭載リモコンカーを調達出来るなんて、見た目以上の犯罪組織だった。こんな軍隊並みの戦力を相手にする警察も大変だ。
主犯の弟(義兄弟)
あっ!「マトリックス レザレクションズ」のスリム・モーフィアスだったのか。アメリカの弱者が報われない医療制度に絶望し、妻の手術費用を工面する為に悪人の義兄弟に助けを求める帰還兵。銀行強盗の逃走運転手だけのハズが警官を撃ってしまい、「警官殺し」にならないために女性救命士と共に奮闘する。彼が悪人ではないと知っているから嘘を積み重ねる彼に同情してしまうが、物語の後、彼と家族は本当に幸せをつかむことができたのかが気になる。裁判までに関係者と口裏合わせないと大変な事になるぞ。劇中あの河川敷を逃走するシーンで兄に「水を避けて走れ!」と怒鳴られ「ここは河だぞ!」と返すシーンが好き。ちなみにここをLAPDのヘリが飛ぶのは前述「ブルーサンダー」の空中戦を思い出したぞ。
これは本作「アンビュランス」。
これは「ブルーサンダー」の名シーン。このシーンのBGMは未だに様々なテレビの効果音で使われている。
乗り合わせた救命士、エイザ・ゴンザレス
ゴンザレスさんなのね。「権兵衛さん」ってニュアンスは無いよね?(失礼;)何かで観たけど多分人違いだ。本物の救命士と同乗訓練の上で撮影期間はほぼ車内にいたそうな。(ご苦労さんね。)救命士がいつも銃弾に晒される訳ではないにしても、劇場を出る頃には彼ら医療従事者に感謝の念を再認識すること間違いない。人の体に手を突っ込んで血管をクリップで止めたり、内臓をまさぐって銃弾を探すなんて想像しただけで(・・・以下省略)経験のない手術を遠隔サポート出来るのはネット時代の恩恵だね。この劣悪な環境で外部と連絡を取ったり警官を助けようとしたり主人公を撃ってしまったり(驚;)奮闘する姿に感動。ラストで札束を渡しちゃうんだけど、盗まれた金額調査、監視カメラ網の解析、関係者の所持品検査、で見逃せないと思うなー。貴方も口裏合わせヨロシク。救命士に限らずアメリカで男女ペアになると、男は女性を誘わなきゃならないルールでもあるのか?(この時代でもそうなのかな?)と日本人には縁のない文化に戸惑う私。まぁそんな機会はもう無いであろう私が戸惑う必要もないか。
撃たれた新人警官の先輩(本作もIMDBの写真少なくて・・この人だよね?)
コイツの管理不行き届きも原因の一つか。職務中の部下のナンパを手助けしやがって。それがなければ人質誘拐案件までは発生しなかったぞ。エンタメ的には正解だけどさ~。その後の奮闘に敬意を表して謹慎で許してあげよう。あなたのような人物が私の新人時代に上司になりますように来生に期待します。ためらっているあの子の前で背中を押してくれますように。(爆;)
撃たれた新人警官
心の広い上司に感謝するように。君のナンパのくだりが本作のキーポイントだったし。にしても何故、銀行員を銀行窓口で口説こうと思うかね?制服警官が勤務中にさ。彼もラストで主人公を庇う行動をとるんだけど、これも監視カメラとの闘いだよね。気持ちはわかるけど供述と異なる証拠がみつかったら彼は謹慎じゃすまされないぞ。犯人隠避になるし。たとえ事実と異なっても訴訟国家アメリカの弁護士が色々画策してくれるかな?(私の偏見だな。)世界中の正義を求める弁護士の皆様ごめんなさい。
・・・という感じで明確に良い点を挙げれない自分の感想文に閉口するものの、「面白かった」という想いが少しでも伝わった方はぜひ劇場で大迫力を体感してくだされ。
コチラは2005年のオリジナル(らしい)の作品。これはこれで興味ある。
鉄腕原子さん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2022-04-13 21:42)
@ミックさん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2022-04-13 21:43)
yu-papaさん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2022-04-13 21:43)
のむらさん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2022-04-13 21:43)
たいへーさん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2022-04-13 21:44)
これは、かなりガッカリ映画でしたね。
マイケル・ベイには、曲者ギレンホールは使いこなせませんでした。ただのバカにしか見えない。
ただのドンパチ・アクションとしても戴けませんでした。マークLレスター先生作品のほうが、圧倒的に面白いです。
by バラサ☆バラサ (2022-04-14 10:49)
バラサ☆バラサさん、ありがとうございます。
> ただのバカにしか見えない。
あははww コメントいただいて気づきました。同感です。ww
by YaCoHa (2022-04-16 11:32)
ぼんぼちぼちぼちさん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2022-05-21 20:52)
うつぼさん、ありがとうございます。
by YaCoHa (2022-05-21 20:52)